皆さんは「糖質」という言葉を聞くと
どのようなイメージを抱きますか。
近年は、コンビニやスーパー、飲食店に行くと
「糖質オフ」を売りにした商品が多く販売され、
低糖質ダイエットがかなり定着してきていることから、
「糖質」という言葉を目にする機会が増えています。
・食べると太る
・糖尿病の原因になる など
マイナスのイメージが強く、
糖質が多いと言われているものを
食べることが怖くなっている方も
多いのではないでしょうか。
特にダイエットへの意識が高い方は、
白米など糖質が多い食品を避けている傾向があるようです。
しかし、本当に糖質は悪者なのでしょうか?
【1】そもそも「糖質」って何なの?
糖質は、
ごはん(白米)、パン、麺類など
主に主食として食べる食品に多く含まれている
私たち人間が消化できる炭水化物のことを言います。
炭水化物は糖質と食物繊維から成り、
食物繊維は消化されることなく腸まで届き、
腸内細菌のエサとなります。
糖質の主な役割は、エネルギー源で、
タンパク質、脂質と同じ
私たちが生きるために欠かせない三大栄養素の1つです。
特に、糖質の種類の一つであるブドウ糖は、
脳にとって大切なエネルギー源になるため、
不足すると疲れやすくなったり
集中力が低下します。[1-3]
働きから見ると
私たちが生きていく上で、
とても重要な栄養素だと言えますね。
【2】「糖質」って本当に悪物なの?
実際に白米を食べる量が増えると
2型糖尿病のリスクが高まるという研究報告や
低糖質ダイエットが体重減少に関与する
研究報告があります。[4-6]
また、周りの人から低糖質ダイエットをして
減量に成功したと聞くこともあると思います。
これだけをみると
「糖質が体に悪いものでは?」と感じますが、
糖質は体に必要な栄養素であり、
決して悪者ではないことを忘れてはいけません。
では、糖質が私たちの体で
どのような働きをしているか見ていきましょう。
【3】糖質に悪物なイメージがあるのはなぜ?
糖質は必要以上に取りすぎてしまうと中性脂肪になり、
いわゆる脂肪として体に蓄積されてしまうことから
糖質を食べると太るというイメージが浸透しているようです。[1]
ここまでの話をまとめると
糖質は少なすぎても多すぎても
体に悪影響を及ぼすため、
バランスよく食べることが大切となります。
それでは、実際のところ
どのくらい食べるのが良いのでしょうか?
【4】「糖質」はどのくらい摂るのがベスト?
世界的に権威のある医学誌「ランセット」に掲載された
炭水化物摂取量と死亡率の関係性についての研究論文には、
炭水化物のエネルギー比率が50〜55%だともっとも死亡率が低く
40%以下の低炭水化物もしくは、70%以上の高炭水化物な食事をしていると
死亡率が高まることが報告されています。[7]
しかし、炭水化物のエネルギー比率が50〜55%と言われても
どのくらい量を食べればいいかわからなくなりますね。
炭水化物のうち、
人間の主なエネルギー源となるのは糖質なので、
糖質を何グラムとれば良いのか、具体的にみていきましょう。
今回は、20〜30代の女性で
デスクワーク中心のお仕事されている方
1日の必要量が約2000kcalの場合ですと
1日あたりの糖質は約250~270gとなります。
それを1食あたり実際に食べる
ご飯・パン・麺類の目安量で表すと次のようになります。
【1食(約330~370kcal)の目安量】[8]
ご飯・・・コンビニのおにぎり2個分
食パン・・・6枚切り2〜3枚
ロールパン・・・3〜4個
麺(うどん、そば、スパゲッティー)・普通盛りで1杯(もしくは一皿)
また、糖質が多く含まれている食品には、
お菓子やスイーツもありますが、
ものによって脂質が多いものもあり、
ご飯やパンよりも糖質の量が多く
食べ過ぎになる可能性があります。
あくまでも嗜好品として、
食事のメインとしないように
気をつけると良いでしょう。
【5】ポイントを押さえて、糖質を味方につけよう!
今回は、テーマとなる糖質の主なポイントとして、
・糖質は、エネルギー源になるが、食べすぎると脂肪になる
・短期的な体重減少には低糖質な食事が効果的
・長生きには、バランスよく糖質も適量取ることが大事
を挙げました。
糖質が怖いと感じていたのは、
糖質に対して知らない部分があった
からかもしれません。
今回のお伝えした内容を
少しでもご自身の食生活に活かしていただけると幸いです。
【出典リスト】
1:厚生労働省|e-ヘルスネット| 炭水化物 / 糖質|(2019年)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-018.html
2:厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2020年版)』
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586559.pdf
3:農林水産省|実践食育ナビ|栄養素と食事バランスガイドとの関係
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/balance/guide.html
4:Hu EA, Pan A, Malik V, Sun Q. White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review. BMJ. 2012;344:e1454.
https://doi.org/10.1136/bmj.e1454
5:Nanri A, Mizoue T, et al. ice intake and type 2 diabetes in Japanese men and women: the Japan Public Health Center-based Prospective Study. Am J Clin Nutr. 2010;92(6):1468-1477.
https://doi.org/10.3945/ajcn.2010.29512
6:Lydia A. Bazzano, et al., "Effects of Low-Carbohydrate and Low-Fat Diets: A Randomized Trial." Annals of Internal Medicine, Vol.161(5), 309-318, 2014
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4428290/
7:Sara B. Seidelmann, et al., "Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis." The LANCET Public Health, Vol.3, Issue9, PE419-E428, 2018
https://www.thelancet.com/article/S2468-2667(18)30135-X/fulltext
8:文部科学省『日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2018年』
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1411592.htm
(全て参照 2021-1-9)